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ウタマロ石けんから学ぶこと(カンブリア宮殿より)

「廃番の危機から奇跡の復活!ウタマロの秘密に迫る」

スーパーやドラッグストアでもお馴染みの緑の石けん「ウタマロ」は、洗濯せっけんです。少年野球のスライディングでユニフォームの奥深くに入り込んだ泥汚れも、Yシャツの襟元のしつこい汚れも、魚釣りで使用した生臭いタオルや手袋まで。この緑の石けんで擦ると、驚くほど汚れが落ちると話題沸騰中。SNSでも裏技的な使い方が多数紹介されており、「ウタマロ石けん」の周辺には、そのクラシックな見た目とはまるで違う風景が広がっていました。

コチラから視聴可能です(Paravi「カンブリア宮殿」より)

2021年度の調べでは、年間販売個数「1230万個」を売り上げる超ヒット商品であり、キッチン周りの汚れ用や住宅汚れにも使えるものなど「汚れを落とす」ことに徹底した商品が幅広く受け入れられています。

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ウタマロをつくる企業「東邦」

大阪にある創業100年を超える老舗企業「東邦」が製造・販売をしています。


・従業員規模:58人
・売上の80%を「ウタマロ」シリーズが構成
・ユーザーからの驚きの声が手紙で多数届く
・100年前から洗濯石けんを作り続けてきた
・研究室では、石けんの基本設計となる「脂肪酸」の配合比率を今も試行錯誤・改良をしている
※脂肪酸の組み合わせを片っ端から試して、1,000種類を超えたとの逸話も
・「ウタマロ」という名前は、「喜多川歌麿」が由来

苦難の歴史

東邦の創業は1920年。まだ洗濯板でゴシゴシと手洗いをするのが主流だった時代に、他社の洗濯石けんをOEMとして製造していました。1957年に東京の商社から、オリジナルの洗濯石けんを製造してほしいとの依頼があり、「ウタマロ石けん」が誕生。年間3,000万個の大ヒット商品となります。

しかし、洗濯機の登場と普及により、安価で使用しやすい液体石けんが主流となり、販売個数は右肩下がりで激減へ。1998年には遂に、「ウタマロ石けん」の販売元だった企業が廃業してしまいます。

製造中止がよぎった頃、「ウタマロ石けん」の愛用者から「製造をやめないでほしい」との電話が相次いだそうです。この声を受けて、東邦が商標を買取り、自社製品として「ウタマロ石けん」は生き残ります。

戦略

2000年から「ウタマロ石けん」の売上が少しずつ回復傾向にあったことで、愛用者の声を徹底的に聞くことに力を注ぎます。

その理由とは…「部分洗い」としての用途でした。洗濯機では落ちない汚れの部分洗い用として、使っているとの声に辿り着いたんですね。

ここから、「部分洗い用の石けん」として「ウタマロ石けん」のV字回復ストーリーが始まります。

戦略① ラインナップ

発売されてから60年以上が経ち、東邦の売上の80%を構成する「ウタマロ」シリーズには、たった4種類のラインナップしかありません。

・固形石けん(一番メジャーなもの)
・おしゃれ着用のボトルタイプ
・住宅用のクリーナー(スプレータイプ)
・キッチン/食器用のプッシュタイプ

ラインナップが多すぎると、「どこに何を使えば良いのかが、分かりにくくなる」。この汚れには「このタイプのウタマロ!」と、選ぶフェーズが入ってしまうため、面倒になってしまうのではないか?という考えがあるようです。

できるだけ商品数をシンプルに絞ることで、選択肢を減らし、家事をできるだけ楽にすることが考慮されています。

戦略② エメラルドグリーンにした理由

汚れは、だいたい暖色系。食べこぼしは赤や茶色、泥汚れも茶色、あぶれ汚れは赤黒かったり、くすんだ黄色だったりする。この反対の色の「寒色系」のカラーをつけることで、汚れている部分にちゃんと塗れているのかが分かるから、というのが理由のようです。

戦略③ 実演では、試供品を配る

店頭での実演販売では、汚れ落としを実演し、売るのかと思いきや…。試供品を配って、実際に使ってもらい、ファンになってもらうことを大切にしています。実際に使ってもらい、体感してもらうことが、確実なコミュニケーションの方法でもあるんですね。

たった4人しかいない営業担当が、全国を飛び回って実演をしているようです。

戦略④ 汚れが許されない職種の方に使ってもらう

白い装束に身を包む神主や巫女などの神職の方。また白いシャツと綺麗な服装が求められるバーテンダーの方に、実際にウタマロ石けんを使ってもらい、汚れの落ち具合や使用感などをまとめ、サイトへ掲載してブランド力を高めています。

ここから学ぶこと

ウタマロ石けんの勢いを支えるのは、「口コミ」。使用者が感動した声を、わざわざ直筆の手紙でメーカーに伝えるほど。他のお客さんを動かす大きな原動力になるのは、企業からの情報発信よりも「ウタマロ石けんを使って、汚れがこんなにも落ちた!」というユーザーの声だと言い切るところに、「口コミ」の重要性を感じました。

そして、愛用者の声を信じてコツコツと継続することで、「地の利」を築いていたことにも納得です。液体洗剤を製造する大手は、専用の設備を必要とする固形石けんへ参入しにくい。また、液体石けんと比べて単価の安い固形石けんは、採算が悪く参入障壁が高い、という位置付けに「ウタマロ石けん」はたどり着いていたのでした。

口コミが「部分洗い用石けん」としてのポジションを築き、企業は徹底した研究とユーザーの声に耳を傾けることで応えている。こう書くと、ものすごくシンプルですが、活かせるポイントがいくつかあると考えます。

・口コミやユーザーの声を聞く(どういう部分で選ばれているのか)
・選ばれている部分=自分の商品の優位性
・市場の流れや外的要因を言い訳にしない

この3つのポイントは、「ドーナツ部長」の運営にも活かすべきであると考えますし、すぐにでも実行していきたいと強く思います。

ぬるぺでぃあ

A. Miura

通称「みうらドーナツ」。本業はRPA/DX系のSEであり、ねじねじドーナツ部長の作者でもある。大好きなドーナツにハマってしまい、ドーナツとの共同生活を送っている「部長」さんの日常をNFT化する日々を送る。

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