NFTを深く知る

【2023年後半に向けて】NFTプロジェクト成功に必要な3つの事

このドキュメントは、Zeneca @ZENECA メールマガジン「Letters from a Zeneca」"Letter 43: Ether, A Case Study"の内容を要約したものです。

イントロダクション

今週は、「Twitter vs Threads」について話す予定でしたが、それは後回し。
※Zenecaは、「Threadsはコンテンツを投稿する場所としてはまともですが、コンテンツを消費する場所としては最悪」と評しているので、このバトルの様子も注目です。

その代わりに…久しぶりに「特定のNFTプロジェクト」をケーススタディとして、取り上げようと思います。

今回のテーマは、「Ether(Ether Avatar)」です。

ETher(Ether Avatar)を取り上げよう

Etherとは何か?

まずは、ここから始めましょう。
イーサリアムは、私たちがよく知るイーサリアムのブロックチェーンに構築されたPFPプロジェクトです。

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OpenSeaのコレクションページはコチラ

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運営自身の言葉を借りると…

  • 「Ether」は、イーサリアム・ブロックチェーン上に構築されたPFPプロジェクト
  • テーマは、ファッション/イノベーション/ストーリーを組み合わせたアニメ
  • アートワークは、5,555人のキャラクターで構成
  • ブロックチェーン技術を利用した、高品質のファッションやコレクターズアイテムを制作するブランドを目指している

つまり基本的には、PFPコレクションをバックにしてIPブランドを構築しようとしているプロジェクトなのです。彼らは、自らを最初から高級ブランドとして位置づけているのも特徴です。

彼らの歴史を辿ってみると、2022年7月8日に彼らのTwitterアカウント(驚くべきことに、彼らは実際に「@ether」アカウントを取得している)がこのツイートをシェアしたことになります。

当時、このプロジェクトは大きな反響を呼びました。運営は、ALキャンペーンを開始し、プロジェクトへ純粋な興味を持つ人々を、時間をかけながら徐々に増やしていきました。

このことが、さらなる誇大宣伝と興奮と期待を生むことになるのです。

MINTに至るまでの出来事

MINTを遅らせ、非常に高いMINT価格を発表し、6ヶ月間ツイッターやAMAでは沈黙し…。MINT価格を下げ、供給量を減らし、ダッチオークションで再びMINT価格を下げ、ロイヤリティを増やし、広く賞賛され、支持され、興奮した状態から、不誠実な状態へと陥りました。

Etherに起こった出来事を、簡単に年表にまとめると…

2022年
7月8日:最初のTweet投下
11月18日:ミントは2023年へ延期
12月10日:Mint価格発表、1ETH(パブリック)/0.5ETH(AL)
12月21日:最初のビデオトレーラーがTweetされる

2023年
6月6日:ミント価格変更
→0.65ETH(パブリック)/0.35ETH(AL)へ修正

6月28日:2本目のビデオトレーラーがTweetされる
※前年12/21のTweetから、6ヶ月ぶりのTweet

6月30日:ALミント
7月2日:総供給量を10,000個から、5,555へサプライカット
7月9日:パブリックミント
7月9日:パブリックミントは200枚程度で一時停止
7月12日: 既存保有者にエアドロップする新プランを発表
→0.45ETH → 0.15ETH で始まる公正なダッチオークション式
7月12日:リビールスタート
7月12日: 0.3ETHで残りのコレクションミントを終了

全部で、約1,000ETHをリリースにより調達したことになります。

この結果自体は決して悪くはありません。特に、現在の市場においては、悪くはないといえるでしょう。しかし、彼らが以前から計画し、期待していた調達額(2,000〜9,000ETHの間)には程遠い結果となりました。

プロジェクトは成功といえるのか?

誰に尋ねるかによりますが、私に言わせると…この市場において、MINTで1,000ETHを調達することは、プロジェクトにとっては成功と言えるでしょう。

これから、このプロジェクトがどうなっていくのかは、未定です。彼らが計画していたよりもはるかに少ない運営資金しかなく、おそらくビジネスとしての方向性を(さらに)大きく転換する必要があると思います。

さらに重要なのは、Etherが、NFTの分野で極めて重要な瞬間を迎えていることでしょう。ようやく人々が目を覚まし、なぜこれほど多くの資金が必要なのか、何を構築しようとしているのか、そしてその価値がどのように保有者に還元されるのかを正確に読み解こうとしているのです。

NFTプロジェクトに必要なもの①「複数のプランを持つこと」

私は公式、非公式を問わず、この分野で多くのプロジェクトにアドバイスをしてきました。私が常日頃から口を酸っぱくして言っていることのひとつは、不測の事態を想定して、別のプランを持っておくことが重要であるということ。

この市場は、気まぐれ、予測不可能であり、猛烈なスピードで変化します。アイデアが生まれてから、MINTの日まで、市場は大きく変化する可能性があるのです。ミントデーまでの、たった2ヶ月の間に変化する可能性さえあります。

多くのプロジェクトは、MINT価格、供給量/コレクションサイズなど、いわゆる"プランA"を持っています。マーケティング戦略、MINT日の戦略、MINT後の戦略など。

この"プランA"は、数ヶ月前の市況や、希望的観測に基づく市況予測に基づいていることがあまりにも多いです。

しかし、「NFT市場全体が暴落したらどうなるのか?」「エンゲージメントが史上最低になったら?」「他のコレクションが、あなたの直前に大量のミントを投下したらどうなるか?」

このようなシナリオを想定していなければ、緊急事態を宣言することになり、悲しいかな、しばしば失敗することになるでしょう。

Etherでも、何度かそういうことがあったと思うんです。

NFTプロジェクトに必要なもの②「タイミングを見極めること」

MINTのタイミングを計るのは、この分野では難しいことのひとつです。理想は…「市場の流動性が高く、人々が強気になっているときに発売すること」。この問題は、どちらも自分ではコントロールできないこと。だからこそ、できる最善のことは…

①リリースする日付を決めてベストを尽くす
②プロジェクトを準備万端にして、市場が熱くなりそうなときを待って、すぐにローンチする

この2択です。どちらの選択肢も、特に魅力的なものではなく、その多くは神に委ねられているのです。

Etherは、特にタイミングが悪く、直前に「Azukiエレメンタル」の価格が下落し、市場から20,000ETHが抜き取られ、NFT市場全体のフロアを暴落させたからです。

この状況の中、彼らに何ができたでしょうか?

この事態を予測し、Azukiの先陣を切るためにリリースを早めることができたでしょうが、机上の空論であり、今になって言える「戯言」です。

彼らにできたのは、"プランA"の他に、強力な"プランB"、"プランC"、"プランD"などを持ち、市場の状況や期待に基づいて動くことでしょう。(これは、きっとできたはず…)

もうひとつ、タイミングについて触れておきたいのは、AL MINTとパブリックMINTの間に1週間のタイムラグがあったということです。これは、注目されるまでの時間が短い私たちの市場では、長すぎる時間でした。

(これと正反対の極端な例として、AzukiのMINTの各段階の間に10分の差があったことを比較してみましょう)

私なら、こうしたでしょう。

  • AL MINTとパブリックMINTの間の期間をもっと短くする
  • MINT価格をもっと低く設定する
  • 資金を何に使うのか、より透明性を高める情報発信を行う
  • 購入者とコミュニケーションをとることを提案する

とても当たり前のことなのですが、2023年になり、人々はますます透明性を求めるようになっています。

NFTプロジェクトに必要なもの③「コミュニケーション」

Etherが、MINTへの新しいアプローチ(サプライカット、価格の引き下げ、ダッチオークション)を発表するたびに、不安が広まっていきました。実際に、何度も何度も聞かれた質問は、「なぜこれだけの資金が必要なのか、それで何をするつもりなのか」というものだったのです。

その返答は非常に曖昧で、「高級ブランド、衣料品、フィギュア、IPなどを構築している」というものでした。

さらに時間が経つにつれて、「ラグジュアリーブランドを立ち上げたいということだが、チームのラグジュアリーブランド立ち上げの経験は?」「MINTの資金を使って、どのようにそれを行うつもりですか?」といった、リアルな質問が投げかけられるようになりました。

これらの質問には、どれも適切な回答が得られていません。

全ては、今が2023年であるから

2021年半ばから2022年半ばにかけての「古き良き時代」には、市場はこのようなことをあまり気にしていませんでした。

今は、2023年半ばです。最も成功したプロジェクトを振り返ってみると、一般的に人々は経験豊かで、中身のある、計画性のあるチームを見たがっているように思います。

アートワーク

このプロジェクトにとって重要な「アートワーク」を見てみましょう。

アートワークをどう感じるのかは、主観的なものですが、私はこれまでに数多くのPFPプロジェクトを見てきた経験があります。その経験から言っても、これは非常に質の高いアートワークだと思います。

ただ、ひとつだけ言えるのは、PFPのアートに関しては、そのアートがPFPとしてどの程度機能するかを考慮すべきだということです。どの程度、識別可能か?他のものと区別がつくか?などなど。

結論としては…素晴らしいアートワークではありますが、PFPとして使うには理想的とは言えないかもしれない。これが私の個人的な感想です。

ポストEtherのNFTの世界

私は、Etherが2021年の"過去モデル"に基づいてMINTされる、最後のプロジェクトになると信じています。そうなることを願っている、と言ってもいいでしょう。

PFPのフロア価格が市場全体で暴落し、撤退するプロジェクトが増えているのを目の当たりにした今、ようやく市場も賢くなり始めたようです。

もはや、派手なロードマップやバズワードだらけのウェブサイトで、中途半端なアイデアに無計画に資金を投じる時代ではないのでしょう。人々は、「資金が何に使われるのか」「事業計画はどうなっているのか」「NFTを購入することでどのような価値、効用、特典、寿命が得られるのか」を知りたがっているのです。

しかし、これはすべて、目標(つまりIPブランドになること)を掲げて資金調達を行う「ロードマップ」スタイルのプロジェクトのためのものであることに注意してください。アートや実用性の低いプロジェクトに関しては、この多くは当てはまらないでしょう。私は、そうしたプロジェクトを愛していますし、「アート=実用性」だと考えています。

Etherはどうなる?

プロジェクトが公開され、2人で運営されるチームにとっては、小さくない額の資金を集めることができました。コミュニティも形成されつつありますが真のサポーターや熱烈なファンがどれだけいて、どれだけが出口流動性を求める投機家の最後の残党で構成されているのかはわかりません。

私はこの業界に長くいるので、強固なコミュニティが形成されれば、どれほど強力なものになるか、そしてプロジェクトの創設者やリーダーがどれほど極端な「不安」をサクセスストーリーへ変えることができるかを知っています。しかし、「成功させる」ためには、関係者全員にとって長く困難な道のりが待っていることは、間違いないのです。

私は、Etherチームの透明性が高まることを望んでいるし、今後同様のプロジェクトを立ち上げようとするすべてのプロジェクト創設者や人々にも、より透明性を高めることを求めたいと思います。

私はまた、"プランB"、"プランC"、"プランD"などを持つことを、みんなにオススメします。古いモデルは(ありがたいことに)崩れつつあり、将来的にうまくいくことは、おそらく今までうまくいっていたことではないはずです。

つまり…コミュニティから7桁の資金を集めるのであれば、そのお金で何をするのかという基本的な質問に答える必要がある、ということ。

NFTをMINTしたり、購入しようとするのであれば、以下のような基本的な質問をすべきでしょう。

「自分が何を買おうとしているのか」
「なぜそれを買おうとしているのか」

戦略を持ち、それを貫くこと。最も重要なことは、自分の頭で考え、"インフルエンサー "の意見に耳を傾けないことです。そこには、誰にでも「意図」があることを忘れてはいけません。

ぬるぺでぃあ

A. Miura

通称「みうらドーナツ」。本業はRPA/DX系のSEであり、ねじねじドーナツ部長の作者でもある。大好きなドーナツにハマってしまい、ドーナツとの共同生活を送っている「部長」さんの日常をNFT化する日々を送る。

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