NFTを深く知る

「The Sanctum」をのぞいてみよう!

The Sanctumとは?

2022年12月のFree MINT開始から、瞬く間に100ETHのブルーバッジを手にしたプロジェクト「The Sanctum」を紹介させて頂きます。魔法使いの学校をテーマとしており、ハイブランドとのコラボや、映画化へのチャレンジやP2Eのゲームの開発などが計画されています。この後で登場する絵や設定を見れば、ピンとくる方も多いと思いますが、アートワークは「ハリーポッター」や「ティム・バートン」に影響を受けています(公式がそう明言されています)。

ここでは、独自トークンの発行や世界観などを中心に、私個人がユニークだと感じた特徴を紹介させて頂きます。

The SanctumはFreeMINTで始まった

「The Sanctum」とは、魔法使いの学校を舞台としたジェネラティブコレクションです。2022年12月3日に FreeMINTとして2,000体がリリースされ、即日完売。総取引額100ETHを超えるコレクションとして、まさに認知を広げている最中とも言えるPJです。

さらに「Tiffany&Co」ともコラボレーションをしていて、「The Sanctum」のロゴが刻印されたアクセサリーを制作。このアクセサリーは、現物AirDropとして話題になっています。

販売形式/販売実績について

最初に「ネオファイト(Neophyte)」と呼ばれる、魔法使いの学生キャラクター2,000体が販売されました。

当初予定していた販売数量は、10,000体。
今回はそのうちの"ジェネシス"となる2,000体の先行販売でした。

https://opensea.io/ja/collection/the-sanctum-neophytes

・販売数量:2,000点
・販売価格:Free MINT(Gasのみ)※1MINT / 1Wallet
・セール実施日:2022年12月3日 23:00〜(JST)にAL保有者へプレセール実施

※今回販売されなかった、残り8,000体はしばらく後(数ヶ月後という話も…)に販売予定となります。

実は…一度頓挫したPJだった?

この「The Sanctum」、最初は10,000体のネオファイトをリリースする計画で、実際におよそ9,000人にの方にALを配布していました。販売価格は、ネオファイトとRoom(※「Room」については、このあと登場します)のセットで「0.25ETH」で販売を行う計画でした。

※こちらは、2022年11月15日当時の購入画面です

結論から言うと…2022年11月15日に開始されたMINTは、スタートして約12分が経過した後に「一時停止」されます。

・12分が経過して、MINTが進んでいなかった。
・たとえMINT参加者が増えたとしても、このペースでは完売は難しいだろう

運営側はそう判断して、MINTを停止しました。FTXの影響により市場が弱気になっていたことも関係があるかもしれませんが、「0.25ETH」というかなり高価なNFTであることに、躊躇した方がほとんどではないかと推察します。

この結果を踏まえて、運営はPJの仕切り直しと販売方法の見直しを行います。既に配布済みの9,000枚のALも、一旦廃棄しています。これについては当時、賛否があったかもしれませんが、再出発する上で「ALを配布する方を、もう一度選びたい」という気持ちがあったのだと思います。
※このあたりの経緯は、「The Sanctum」のDiscord内に記載されています。

下記のように再出発を行うことを決定しました。

・10,000体のうち、2,000体をジェネシス(今後優遇される初期個体)として販売
・販売価格は、FreeMINT
・当初はセット販売だったRoomのNFTは、完売から一定時間後にAirDropで配布

FreeMINT直後に手放してしまう方には「RoomのNFT」が行き渡らないような設計になっていることからも、どんな方にALを渡したいと考えていたのか想像がつくと思います。実際、FreeMINTのALは、Google-Formにて申請した方の中から2,000人を運営が選抜するという形式で、配布されました。Google-Formでは、PJに関するいくつかの質問が設定されており、自分の意見や考えを記入する必要がありました。

こうして「The Sanctum」は、新たに選抜された2,000人のAL 保有者とともに、再出発を迎えることとなります。

※私がこのPJを知ったのは、まさにこのタイミングです。ALの申請書にエントリーするべきなのか…PJについて自分なりに調べた結果、申請を行い、ALを頂いたものとなります。

結果は、AL+パブリックセールで即日完売。販売方法の見直しと、AL配布方法を変更することで、コミュニティの再構築を行ったことが功を奏した形となります。ここから先は、「The Sanctum」の仕様と楽しみ方について、説明を続けていきます。

ネオファイトについて

種類と派閥について

ここまでの説明で「The Sanctum」のメインとなるNFTは、「ネオファイト」と呼ばれる、魔法学校の学生キャラクターであることが分かって頂けたと思います。

全てのネオファイトは、4つの派閥に所属しています。

・ビースト(Beast)


・イリュージョン(Illusion)


・スピリット(Spirit)


・トランス(Transmogrification)



「ビースト派閥のネオファイトは、動物を引き連れている」など、各ネオファイトは派閥ごとの特徴を有しています。

今回発行された2,000体のネオファイトは、500体ずつが各派閥に振り分けられており、均等に存在しています。
つまり…派閥単位でのレアリティ要素は、現状ではありません。

個体のレアリティには4種類が設定されており、それぞれの内訳は下記となります。

・Legendary:6体
・Very Rare:200体
・Rare:599体
・Common:1,195体

レアリティよって、服装や引き連れている動物などが異なり、見た目でも楽しめるところがいいですね。

素敵なリビール演出

「The Sanctum」のリビールは、2段階で行われました。

・まずは、派閥のエンブレムが現れる。
 ここで、自分のネオファイトがどの派閥なのかが分かります。(完売から72時間後)

・続いて、ネオファイトの姿が明らかになります。(派閥リビールから48時間後)

第一次リビールで、ネオファイトの派閥が分かった段階で、別の派閥の個体を買い集めるなどの楽しみ方が生まれました。せっかくなら4派閥をコンプリートしておきたいという思いが働くのは、なんとなく分かりますよね。

レジェンダリーについて

今回リリースされた2,000体には、6体のレジェンダリー(伝説的なレアリティ)が含まれています。

実を言ってしまうと、レジェンダリーは10,000体の中には「12体」のみ存在していることが明らかにされているので、今回の2,000体のジェネシスに割り当てられている確率はとても高いことが分かります。6体のうち、4体はFreeMINT時にランダム(つまり、幸運な方の元へ)で出現し、残り2体はオークションにて所有者が決定されます。

※レジェンダリーオークションによって得られた資金は、当初0.25ETHで販売する計画だった運営資金面へと充当される予定です。

レジェンダリーは…動きます!

そして…レジェンダリーの特典として注目を浴びたのが、あの「Tiffany&Co」現物のAirDropです。一定期間経過後にスナップショットが行われ、保有者の元には「Tiffany&Co × The Sanctum」コラボのアクセサリーが届けられる仕様となっています。

Roomについて

Roomとは?

ネオファイトの保有者には、彼らが生活する魔法学校の「寮の部屋(Room)」がAirDropされました。もちろんRoomもNFTであり、4つの派閥に応じて異なるデザインとなっています。

このRoomのAirDropは、ネオファイトの完全リビールから72時間後に行われました。保有するネオファイトの派閥に応じたRoomが、保有数に応じて配布されています。

AirDropの例

Beast派閥のネオファイト×2つ、Spirit派閥のネオファイト×1を保有していた場合…

→ BeastのRoom×2個、SpiritのRoom×1個がAirDrop

Roomは、The Sanctumとは別コレクションとして作成されています。(OpenSeaリンクは下記)
https://opensea.io/ja/collection/thesanctum-dormrooms

全くの余談ですが、このRoomのAirDropは全て運営資金によって行われており、全てのAirDropを完了させるために「2.89ETH」を費やしたそうです。このあたりの情報も、Discord内のホルダー向けアナウンスではオープンにされています。

Roomの種類について

Roomには、「派閥」「広さ」「呪文書(本)の有無」「呪文書(本)のレアリティ」が設定されており、内訳としては下記となります。

・小部屋:700個
・呪文書のない 大部屋:600個
・普通の呪文書付き 大部屋:400個
・レアな呪文書付き 大部屋:200個
・ものすごくレアな呪文書付き 大部屋:100個

※上記の部屋の画像では、上段が小部屋、下段が大部屋となります。

部屋の広さや呪文書の有無は、見た目の違いだけではなく、この後で説明する独自トークン「$RUNES」の獲得量にも影響を与えます。

独自トークン「$RUNES」について

$RUNESとは?

「The Sanctum」では、「$RUNES」という独自トークンの実装が予定されています。ホワイトペーパーのタイトルが「The Sanctum Economics」となっているように、この独自トークンは本PJを理解するうえで重要な役割を果たしています。

これまでに登場した全てのネオファイトとRoomは、「$RUNES」を獲得することを目的として発行されており、レアリティや広さ、呪文書によって、獲得できる「$RUNES」が異なるという仕様になっています。

「The Sanctum」のホワイトペーパー(下記より確認頂けます)
https://the-sanctum.gitbook.io/the-sanctum-economics/

$RUNESとは?

「$RUNES」とは、The Sanctumが発行する独自トークンです。

・最大供給量:100,000,000の独自トークン(ERC-20)
・90%がトレジャリーに入っており、ホルダーへ分配されるために存在しており、
10%は運営チームへの割り当てとして使用される
・メンバー/トレジャリー間の取引で使用され、「$RUNES」単体の販売は行われない
・DEXでの取引は不可の方向(流動性プールの作成と参加はしない)

$RUNESを獲得するには…

これを書いている2022年12月18日時点では、まだ実装前の「$RUNES」ですが、いくつかの獲得方法がホワイトペーパーに記載されています。

①「ネオファイト+Room」NFT所有者への配当
「$RUNES」実装後には、保有するNFTをステーキングすることで、「$RUNES」を獲得できるようになります。
1日あたりに獲得できる「$RUNES」の目安は、下記表のとおりです。

保有しているネオファイトの種類、Roomのサイズ、Room内の呪文書の種類によって、微妙に変化することが分かります。

「$RUNES」を毎日獲得するには、保有するネオファイトとRoomをセットで、ステーキング(ロック)するイメージのようです。
つまり「部屋とネオファイトの数は揃っている必要がある」ということになります。

※運営からのアナウンスによれば、今のところ「派閥まで揃える必要は、ない」とのこと。
まずは、ネオファイトとRoomの数を揃えておきましょう。

②今後実装予定のP2Eゲームの報酬として入手可能
ロードマップに記載されているP2Eゲームの報酬としても、「$RUNES」は獲得することが可能です。

③今後実施予定の「The Sanctum」の映画化に伴う、「$RUNES」の獲得
同じくロードマップに記載されているのが、「The Sanctum」の映画化。この映画化では、みなさんの保有するネオファイトが映画に登場する可能性があるようです。そして、映画に出演したネオファイトの所有者には、映画への登場時間に応じて「$RUNSE」が配布されるとのこと。

ちなみに…どのネオファイトが登場するのかは、ランダムに選出する予定。映画には「多種多様なネオファイト」を登場させる必要があるため、「色々なネオファイトを集めておきたくなりませんか?」って言いたそう…と感じました。

④ネオファイトをバーンして、「$RUNES」と引き換える
ホワイトペーパーによると、ネオファイトをバーンして、「$RUNES」を獲得できる仕組みも計画されているようです。その時に獲得できる「$RUNES」の量を左右するパラメータとして、重要になるのがネオファイトの「希少性」とも言われています。

$RUNESの使い道は?

獲得した「$RUNES」の使い道も様々で、中でも最も注目されているのが「ブルーチップ オークションへの入札」です。「The Sanctum」の世界には、「グリモア」と呼ばれる魔法書が存在し、「グリモア」にはブルーチップが封印されています。封印されたブルーチップは、「$RUNES」によって呼び出すことが可能であり、「$RUNES」の所有者はブルーチップをかけたオークションに参加することができます。

つまり…運営が調達したブルーチップNFTが、定期的にホルダー向けオークションにかけられるという仕組みです。このオークションに参加するためには、ネオファイトのホルダーである必要があり、オークションの入札は「$RUNES」によって行われます(最高値の「$RUNES」を提示したホルダーが落札者として選ばれます)。

落札者が支払った「$RUNES」の50%はトレジャリーへと戻り、残りの50%はオークション入札者の間で、入札金額に応じて分配されます。

現時点で予定されている「$RUNES」の使い道を挙げさせていただきます。

SNUGホルダー向けに実施された企画例

・映画への参加
「The Sanctum」の映画化に際して、保有するネオファイトが映画に登場する「時間」「果たす役割」について、「$RUNES」を使ってアピールすることができる。

・バーンの優先順位を上げる
ネオファイトをバーンして「$RUNES」を獲得することができますが、ネオファイトのバーンは「1日1体」という制約が課せられることが示唆されています。つまり、バーンを望む人が多いほど、行列に並ぶ時間が長くなります。バーン待ちの行列に並びたくない方は、「$RUNES」を消費すると先頭に並ぶことができます。※こうして消費された$RUNESは、先行して並んでいる人に均等に分配される予定とのこと。

・P2Eゲームで、呪文強化や消耗品の購入に利用可能

・今後の追加ドロップされるNFTの購入

ロードマップについて

最後に、「The Sanctum」のロードマップを記載しておきます。

【Phase.1】
・「$RUNES」とホワイトペーパーのコンセプト共有
・ジェネシス ネオファイト(NFT)のMINT
・Room (部屋NFT)のAirDrop
・現物(Tiffany&Co)のリワード
・Private SNSの公開
・現物(YVES SAINT LAURENT)のDrop(販売?)
・マジックワンド(魔法の杖)NFT販売

フリーミントに切り替えたことで、ロードマップ策定時とは資金調達の計画が一部変更を余儀なくされていますが、「Phase1」は計画通り実行する予定とのこと。これは、11/26に開催されたFree MINT直前のAMAで明らかにされています。

【Phase.2】
・P2Eゲームのコンセプト共有
・現物(Tiffany&Co)のリワード
・マーケットプレイス公開
・8,000体のネオファイト(NFT)のMINT
・グリモア(魔法書)登場

【Phase3.】
・ペット(NFT)MINT(「$RUNES」が必要?)
・フィギュアのDrop
・サプライズ(現物)のDrop
※Beastのネオファイトは動物を連れていますが、ここに記載されている「ペット」とは別とのこと。

【Phase4.】
・コミュニティが選択する未来へ

あとがき:Gold Order(黄金のルーン)について

「The Sanctum」のDiscordでは、「Gold Order」という特別なロールがあります。この「Gold Order」は500人に与えられるロールとして上限が決められており、「The Sanctum」にアーリーで参加し、応援する者として認定された証でもあります。

黄金のルーンには、名前が刻印されています

「The Sanctum」はローンチしてから日が浅く、このPJを日本語で解説しているメディア/記事は、これを書いている現時点では存在していませんでした。この「The Sanctum」は、『一度失敗したら、おしまい』というイメージが強いNFT界隈において、仕切り直しから一定の成功を収めた稀なPJでもあります。

仕切り直すという決断と、再販時にコミュニティを小さく絞った戦略はとても見事で、「頓挫してしまったイメージを払拭しようとしているPJもある」ということで、こうして記事として紹介させて頂きました。

私の「Gold Order」も、「The Sanctum」を日本語で紹介させて頂くにあたって頂いたものとなります。少しでもこのPJが気になった方は、ぜひOpenSeaのコレクション(コチラ)やDiscordを覗いてみてください。

ぬるぺでぃあ

A. Miura

通称「みうらドーナツ」。本業はRPA/DX系のSEであり、ねじねじドーナツ部長の作者でもある。大好きなドーナツにハマってしまい、ドーナツとの共同生活を送っている「部長」さんの日常をNFT化する日々を送る。

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