NFTを深く知る 読むアーカイブス

StandFM #043 より「1993年のノンファンジブル」

この記事は、ドーナツ部長のホールナイトニッポン「#043 部長は、あの日のスーパーマリオコレクションになれるのか?」の内容を、自動化ツールを組み合わせてテキスト化したものです。テキスト化に際して、一部言い回しのカットや、文末の変更と要約を行っています。

イントロダクション

やってまいりました、ドーナツ部長の「ホールナイトニッポン」、43回目の放送となります。今日のテーマは、もちろん「NFT」です。ノンファンジブル・トークンということで、「非代替性トークン」という意味だったと思うんですけども。この「ノンファンジブル」という言葉と、私の幼少期の頃の思い出をね、少しだけ絡めてお話したいと思っています。

本編➀「ノンファンジブルな体験」

今日は、冒頭申し上げました通り「完全なる雑談」になるかと思います。雑談といっても、それほどNFTと無関係なのかと言われると…ちょっと絡むかなという感じです。そういうわけなので、音声として聞いていただくのもよし、後ほど「読むアーカイブス」としてテキストで読んでいただくのもよし、ということで。お好きな方を、選択いただければなと思います。

NFTということで、「ドーナツ部長」をずっと続けていますけれども、「ノンファンジブル・トークン」の「ノンファンジブル」というのは、変えがきかない(非代替性)ということですよね。だから、NFTの特徴でよく言われるのが、「唯一性の証明」だったり「追跡ができる」というようなことが、挙げられるわけです。要は、唯一のものであるということです。

これについて、私の中にはずっと引っかかっている思い出があるんです。

本編➁「スーパーマリオコレクション」

その思い出を話すには、まずはどんな幼少期だったか、という話をさせてください。ちょうど私が、小学校1年生の頃に「スーパーファミコン」というハードが、超絶人気になりまして。小学校1年生の夏頃に、買ってもらったわけです。それ以来、小学校6年生…いや中学生まで。めちゃくちゃゲームをやりました。それこそ、毎月1本くらいのペースで新しいソフトを買ったりして。私には、4つ年の離れた弟がいましたので、お小遣いを2人で頑張って貯めていくと、安い中古のソフトが買えるんですよね。新しいソフトを買っては、2人で遊ぶ。そういう幼少期を過ごしていました。

なので当然、誕生日プレゼントだったりクリスマスプレゼントっていうのは、すべてゲームですね。そんなゲームが大好きだった小学校生の頃。小学校3年生か、4年生だったと、記憶してるんですけれども。「スーパーマリオコレクション」っていう、スーパーファミコンのゲームソフトがあったんです。このゲームが何かっていうと…スーパーマリオの過去の作品、例えばファミリーコンピューター(ファミコン)時代からの作品などを、スーパーファミコンに移植をして。色々なマリオ作品が、セットで遊べます!…という内容なんです。確か、「スーパーマリオブラザーズ3」とか「スーパーマリオUSA」などが、入ってたと思うんですけど。3,4本のソフトが一緒になった「スーパーマリオコレクション」っていう、金色のマリオのちょっと豪華なパッケージのソフトだったんです。

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これが当時、欲しくて欲しくて…。テレビのコマーシャルもやってたんですよね。コマーシャルが流れるたびに、ずっと「欲しい、欲しい」って言ってたんです。

本編➂「ドルフィン山本の紙袋!」

ちょっと話は変わりますが、私の父親が当時ですね、会社員で名古屋市内に勤めていたんです。それで、ある日とつぜん。平日の夜にですね、父親が仕事から帰ってきて、ご飯を食べた後で、仕事用のカバンの中から、紙袋を取り出したんです。「ドルフィン山本」っていうゲームショップが、当時名古屋にありましてね。その「ドルフィン山本」っていうショップの紙袋だったんです。確か…白と水色か何かの紙袋で、もうパッと見て「あ、ゲーム!」と分かるわけですね。

紙袋をホイッと渡されて、袋がまためちゃくちゃ薄いんですよ。袋の外から「あ、スーパーマリオコレクションが入ってる!」と。完全なサプライズでした。その日は、特に誕生日でも、何かのご褒美でもなく。普通の平日の夜に、突然ですね、父親が仕事終わりに「ドルフィン山本」に行って買ってきてくれたわけです。

うちの父というのは、非常に厳格な親で。それはもう、めちゃくちゃ厳しかったんです。私はいまだに、父を超える怖い大人に会ったことがありません。今思うとね、初めて、ただの一度きり。仕事終わりに、ゲームショップに行って、買ってきてくれたゲームソフトだったんです。それが、最初で最後でしたね。

その日に限って、タイミングが非常に悪くて。その全く同じ日にですね、うちのおばあちゃん。母方のおばあちゃんが、「スーパーマリオコレクション」を買ってくれたんですね。自分が、あまりにも「欲しい、欲しい」って言うので、うちの母がそれを聞いていて。おばあちゃん、うちの近所に住んでましたから、日常の中で話をしてたんでしょうね。それを知って、ちょうどドルフィン山本の紙袋と同じ日、もっと早い時間の夕方ぐらいに。「今から買いに行こう」って言って、おもちゃ屋さんに連れて行ってくれたんです。で、その日の夜に、うちの父が仕事終わりに買ってくれるわけなんですね。

本編➃「本音を言えば、欲しい方は最初から決まっていました」

私の父親っていうのは、仕事を定時ぴったりに上がってくる人で。会社を出てから、どこにも寄らずにまっすぐ帰ってくるような、そういう人だったんです。その父がね、わざわざ寄り道をして、普段行き慣れていなかっただろうゲームソフト屋さんに行って。多分、ゲームの名前も覚えてなかった思うんですよね。だからきっと、「マリオの新しいやつ」みたいな感じで、お店の人に言ったと思うんです。今思えば、多分そうやって買ってきてくれたゲームソフトだったんです。

当然、その日の夜には、我が家に全く同じソフト「スーパーマリオコレクション」が2本あるわけです。おばあちゃんが買ってくれたスーパーマリオコレクション、そして父親が買ってきてくれたスーパーマリオコレクション。

私はその時、子供ながらに思ったのは「父親が買ってくれた、スーパーマリオコレクションの方が欲しい」ということ。なぜかというと、さきほど言った理由があったからです。どこにも寄らずに、会社からまっすぐ帰ってくる父親が、子どものために寄り道をして、嬉しそうにカバンから紙袋を取り出す様子、見ていましたから。そういうのを考えると、やっぱり、私は父親の買ってくれた方を選びたかったんです。

おばあちゃんの方も、当然嬉しかったんですけど。父親が買ってきてくれた方っていうのは、なんかこれを逃すと、もう二度と買ってもらえないような気がしたんです。だからね、どうしてもそっちが欲しくて。

結局は、「そうか、おばあちゃんが買ってくれたのか~」って、うちの父は恥ずかしそうにしてましたね。そうなると、ドルフィン山本の方は、返品しなきゃいけない。だから、箱を開けちゃいけないんですよね。なるべく、買った状態のまま持っていかないと、返品できないかもしれない…ということで。本当はね、ものすごい開けたかったですよ。だけど、その紙袋のセロハンテープも取ることなく、本当に買ったままの状態で。翌日に返品できるように、カバンの中にしまわれてしまったんですね。

本編➄「ノンファンジブルは、あの日の紙袋の中にあった」

あの日、私の家には「スーパーマリオコレクション」という全く一緒のゲームソフトが2つありました。見た目は全く一緒、中身も同じで、同一の機能を持っているソフトなんです。それでも、私にとっては、やっぱり明確な違いがありました。

父親が買ってくれた方っていうのが、私にとっては特別で、唯一無二なんです。どっちを選んでも‥っていうのが、あると思うんですけど。「ノンファンジブル」という観点で言うなら、優劣をつけるようで申し訳ないんですけど…やっぱり、あのとき、父親が買ってくれた、返品されてしまった「スーパーマリオコレクション」の方が特別だったんです。

やっぱりこれって、いまだにちょっと後悔するんです。あれから何年経ったでしょうね、20何年が経ってますけど、いまだにね、父親の墓参りに行くたびに思い出したりますね。あの時ね、本当はあなたが買ってくれたゲームソフトの方が欲しかったんです、っていうのをね。

結局ひとことも言えずに、行っちゃいましたから。なので、どうでしょう…よく言うじゃないですか。「ノンファンジブルとは何か?」みたいなことや、「NFTの価値とは、何でしょうか?」みたいなこと。よく考えたり、そういう議論を見たりすることがあると思うんですけど、私がこれまでの人生の中で、強烈に感じた「ノンファンジブル」というのは、あの時の「スーパーマリオコレクション」だったんです。

エンディング

これが、本来のNFTであって、自分が目指すべきところなんじゃないかな、と思うんです。あの時、そして今も。私が感じている、「スーパーマリオコレクション」こそ、ノンファンジブルだったと。「ドーナツ部長」の活動の中で、もし、誰か一人にでも、そういう気持ちを感じて頂けているのであれば…「この活動をやってきて、よかった」、本当にそう思いますね。

これは、決して綺麗事でもなんでもなくて、本当にそう思います。今だと、部長のホルダーさんって250人以上いて、部長以外の作品も入れると、多分300人ぐらいの方が、私の作品を持ってくださっていると思うんです。その中の一人でもいい、あの時の私が感じたような、「もう、これしかない」っていう、そういう気持ち。こんな思いを、もし持ってくださっている方が、いるのであれば、NFTをやってて、よかったなと思うわけですね。当然、この話と「売る/売らない」とは、全く別です。だから「売ってほしくない」なんて、全く思いませんので。そこだけは、一言言わせてください。

お盆の季節も近づいているので、いろんなことを思い出します。この時期になると、特に「スーパーマリオコレクション」を思い出してしまいます。…というわけで、43回目の放送は、以上となります。最後まで、ご清聴ありがとうございました。では、また。

ぬるぺでぃあ

A. Miura

通称「みうらドーナツ」。本業はRPA/DX系のSEであり、ねじねじドーナツ部長の作者でもある。大好きなドーナツにハマってしまい、ドーナツとの共同生活を送っている「部長」さんの日常をNFT化する日々を送る。

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