NFTを深く知る

【NFTの現在位置】2023年の冬市場、何が変わったのか?

このドキュメントは、Zeneca @ZENECA メールマガジン「Letters from a Zeneca」"Letter 42: Why Did The NFT Market Collapse?"の内容を要約したものです。

イントロダクション

先週のNFT市場…特に「PFPプロジェクトの大崩壊」について。
現在多少の回復も見られるが、この崩壊が拡大すれば…下降のデススパイラルに陥ってしまうことも考えられる。

なぜこのようなことが起こるのだろう?
そしてベアマーケットから生き残るための、枠組みや戦略をどう組めばいいのか?
検討する価値は十分にあるだろう。

今回は、以下のことを取り上げる。

  • NFT市場の崩壊
  • ポンジ/ミームコインとしてのNFT
  • 外部依存関係
  • この市場で何を買えばいいのか?
  • 不屈の精神

NFT市場の崩壊

2021年にも、私は同じような話をした。(あの頃は、まだ良かったが)

現在、多くのプロジェクトが無価値なもの、価格のつかないものになる傾向にあることは、当たり前のことかもしれない。NFTプロジェクトの大半は、誇大広告であり、投機的かつ、ポンジ以外の何ものでもない。

明らかな供給過多、それに伴う弱気、そしてNFTに対する関心そのものが世界的に「史上最低水準」であることから考えると、かなり不安な未来が浮かんでくる。

ETHやBTCの上昇も、大して役には立たず、市場での競争やNFTのインセンティブ自体が、フロア価格を下げているという読みさえある。「NFTがなぜ暴落しているのか?」その理由はすべて、目の前にある。ものすごく短期的な見方をすれば、ここ最近の暴落の原因は「Azuki」にあると言えるかもしれない。

Azukiに対する分析

Azukiの運営は、市場がすでに崩壊しつつあるタイミング、多くのNFTが流動性に苦しんでいた時期に、FOMOを誘発した。大量の流動性を引き起こすようなイベントを実施したのだ。追加のコレクション「Azuki Elementals」に費やされたETHは、20,000ETH。

これが2021年、あるいは2022年初頭であれば、市場にも問題なく吸収されたであろうが、現在の情勢ではさすがに無理があったのかもしれない。さらに状況を悪化させたのは、「Azuki Elementals」のリビールだった。

アートワークそのものは、客観的に見て素晴らしい。しかし、「Azuki」OGコレクションと比べると、驚くほど似ていて、MINTからリビールまでの期待値調整が全くできていなかった。そのため、Azukiコミュニティ内では不満が爆発し、プロジェクトからの大量流出につながってしまったと言える。

「流動性を煽るような出来事」と「フロア価格の崩壊」が組み合わさると、この動きはネガティブなものとして伝播する。事実、これまで最大かつ最も成功したプロジェクトであった「Azuki」に対する信頼が失われた。このことは、すべてのプロジェクトに対する信頼もまた、失われる可能性があることを意味している。

-「あのAzukiでさえ、うまくできないのなら…他のPJに何が期待できるというの?」ということ。

しかし結局のところ、フロア価格が下がり続けている理由はひとつだけだ。つまり、「需要と供給」。

すべてのNFTにおいて、供給はどんどん増加している(新しいNFTコレクションが次々に登場しているのだから、当たり前かも)。AzukiコミュニティにおけるNFT供給もまた、著しく増加している。一方で、NFT全体の需要は「過去最低」を記録している。また、NFTを担保にした融資と借入が実現したことにより、その傾向はさらに強まっている。

NFTを担保に融資を受けることが簡単になると、NFT市場へ効果的にレバレッジをかけることができるプロトコルが数多く登場した。これにより、もし仮に大規模な清算が発生した場合、NFTが高値を更新する可能性もあるが、安値も大幅に更新される可能性がある。

ポンジ/ミームコインとしてのNFT

数ヶ月前 、私はこのトピックについて一通の書簡を書いたので、今さら蒸し返すことはしない。というのも、当時は「ミームコインの流行」という文脈で言及したが、今では過去の文脈から独立した考えとして見る価値があるからだ。

NFTの厳しい現実は、「NFTを購入する動機」の大部分が、「金儲けの目的」で行われているということである。

人がモノを買うのは、将来のある時点で、そのモノを誰かに高く売りたいから。それが唯一の理由ではないかもしれないし、大多数の理由ですらないかもしれない。しかし、ほとんどの人が本当に正直であるならば、「金儲け」という理由も存在すると私は思う。この問題は、エアドロップや、より多くの "モノ "が無料でMINTできたことによって、さらに複雑になっている。アートとして、収集品として、コミュニティの会員証として、IPとして、ステータスを表すものとして。

しかし…「どのコレクションの、どのNFTに、一体どれだけの価値があるのか?」なんてことは、誰も知らないし、知ることもできない。私たちが知ることができるのは、市場が決めた価格だけなのです。市場は非合理的なものであり、非常に長い期間、非合理的さを保ったままである可能性もある。

結局のところ、モノの価格価値とは、他の誰かがそのモノに支払ってもいいと思う金額なのだ。私たちはリアルタイムでこれを目の当たりにしている。見ていて、そしてその一部であることは魅力的な実験であり、物事がどこに落ち着き、行き着くのか、私には見当もつかない。

私は、NFTには文化的価値があり、芸術的な価値があり、NFTコミュニティのメンバーであることにも価値があると、心から信じている。しかし、そのようなものの価格や価値はどうなのだろう?残念なことに、私にも分からない。

外部依存関係

このことを考える人はあまりにも少ないと思う。「外部依存関係」とは何か?基本的に、あるものの価値が、その価値を維持するために(あるいは価値を高めるために)、「何かをする」人やチームに依存している場合、その価値は外部要因に依存していることになる。

その対極にあるのが内部依存関係であり、モノの価格を維持または上昇させるために、中央集権的な存在を必要としない。価値は、モノそのものに対してつけられているのであって、モノの「効用」にあるのではない。

簡単に考えるなら…「プロジェクトにロードマップがあれば、それは外部依存関係がある」というものだ。

「Crypto Punks」と「BAYC」が良い比較になる。「Crypto Punks」の価値は、歴史的、文化的、収集可能な芸術品であることにある。エアドロップやイベント、メタバースやゲームを期待して「Crypto Punks」を買う人はいない。「Crypto Punks」はステータスシンボルであり、コレクターズアイテムなのだ。

「BAYC」の価値は、Yuga Labsが提供する将来のユーティリティに期待するところが大きい。エアドロップ、トークン、ステーキング。ゲーム、メタバース。イベントへのアクセス、バーチャルとIRL。パートナーシップ、コラボレーション。ユーティリティ。確かにそれらはアートでもあり、ステータスシンボルでもあるが、 大半のトークンの価値は、それではない。 Azuki、Doodles、Moonbirdsなどにも同じことが言える。

断っておくが、プロジェクトに外部依存関係があることは悪いことではない(この事実は、強調しておきたい)。実際、外部依存性を持つプロジェクトが、目指す内容をやり遂げることができれば、「何もしない」プロジェクトよりもはるかに価値を持つことも考えられる。もし、彼らが「ロードマップに書かれたこと」をすべて実行し、実行し続けることができ、彼らが実行し続けていることを地域社会が気に入れば、それは素晴らしいことだ。しかし、そうでなければ…事態は一気に悪化する。

外部との依存関係があるプロジェクトでは、潜在的な上限は高くなるが、ゼロかゼロに近い状態になる可能性も高くなるということかもしれない。基本的に、リスクが高ければ報酬も高いのである(注意すべき重要な点は、報酬は必ずしもリスクに比例しないということだ)。

BAYCのフロアが「Crypto Punks」のフロアよりも高い史上最高値を記録したとき、私たちはこれを目の当たりにしたが、今日、BAYCのフロアは「Crypto Punks」のフロアよりも低い。最高値は高く、最低値は低い。

この市場で何を買えばいいのか?

私たちは皆、ウォーレン・バフェットの古い格言を知っている。

-「他人が貪欲なときは恐れ、他人が恐れているときだけ貪欲になれ」

もちろん、これはすべて相対的なものだ。何かが90%下がったからといって、それがさらに90%下がらないとは限らない。しかし、モノが急激に値下がりし、一般的なセンチメントが史上最低になっているときに購入を検討する方が良い時期であることは確かだ。もし、あなたがプロジェクトに信念を持っていて、それを本当に信じていて、若干でも流動性が残っているのであれば、今がそのチャンスだ。

しかし、私はあなたに何を買うべきかを教えることはできない。誰かが「買え」と言ったからという理由で買ったのでは、価格が乱高下したときに夜もぐっすり眠れないだろうし。私が提案できるのは、時間をかけて市場に目を通し、どんなお買い得品があるか見てみることだけだ。

目を離したくない「ウォッチリスト」を作る。そして、いつものように、損してもいい金額しか使わないこと。

純粋なアート、純粋なコレクターズアイテム。
できれば、ポンジとは無縁のタイプがいい。

リスクの高いPJを探し、ロードマップを持つチームに賭けたいのであれば、持続可能な収益源を見つけたか、少なくともそれに向けた強力な道筋を持っているチームを探すこと。創業者にビジョンと情熱があり、実行する能力と専門知識があるチームを探すことが重要だ。

不屈の精神

今、目の前にあるのは「試練の市場」だ。私たちのような優秀な人間を打ちのめし、傷つけてきた。落ち込んで、その場を去った人たちを、私はたくさん知っている。何かを取引するのは、気の弱い人のためではない。ほとんどの人間は、トレーダーとしては成功しないし、金銭的にも精神的にも、リスクの低い資産バスケットを購入して保有する方が良いだろう。

NFTの取引は、他の多くの資産よりも非常にリスクが高い。NFT自体の価格も原資産通貨(ETHなど)の価格も、短期、長期を問わず、あらゆる方向に大きく変動するから。お金を失ったとしても、あまり自分を責めないでほしい。過去を変えることは誰にもできないが、少なくともそこから学び、学んだことを活かして将来に備えることはできる。

ぬるぺでぃあ

A. Miura

通称「みうらドーナツ」。本業はRPA/DX系のSEであり、ねじねじドーナツ部長の作者でもある。大好きなドーナツにハマってしまい、ドーナツとの共同生活を送っている「部長」さんの日常をNFT化する日々を送る。

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